エルデネ・プロジェクト2024

  • 団体名 エルデネ・プロジェクト実行委員会
  • 代表者 国際学部 国際学科 4年 成田 響子

活動記録

2024年4月2日~11月26日
4月2日 第1回企画打ち合わせ・オンラインミーティング
(現地コーディネーターのダライ氏および国立モンゴル科学技術大学 経営大学院バーサンダシュ教授に協力要請)
4月15日 羊毛フェルト試作品製作開始(羊毛フェルト製作目標数200個に決定)
4月20日 第2回企画打ち合わせ・オンラインミーティング(ダライ氏と企画概要の最終確認)
4月26日 パンフレット作成開始(5月20日完成)
5月1日 企画書作成開始
5月8日 第3回企画打ち合わせ・オンラインミーティング
(ダライ氏とバーサンダシュ教授に羊毛フェルト試作品を披露)
5月15日 広報戦略案・財務案・渉外企画案の作成開始
6月8日 第4回企画打ち合わせ・オンラインミーティング
(国立モンゴル科学技術大学 産業技術学部デザイン学科のナラ准教授、産業技術学部の学生に企画趣旨を説明後、協力要請)
7月1日 ワークショップ、羊毛フェルト・フェス企画書作成開始(羊毛フェルト製作目標数400個に変更)
7月7日 ワークショップ、羊毛フェルト・フェス準備開始
7月24日 駐日モンゴル国大使館を表敬訪問(デルゲルマー公使参事官に企画趣旨を説明)
8月1日 吊るし雛試作品製作開始
8月7日 吊るし雛試作品完成
8月10日 第5回企画打ち合わせ・オンラインミーティング
(ダライ氏と現地での日程確認ほか)
8月19~24日 モンゴル・ウランバートルにて企画実施
8月20日 在モンゴル国日本大使館への表敬訪問・KhanBogd Cashmere社で工場見学
8月21日 国立モンゴル科学技術大学10号館にてワークショップ実施
8月22日 エルデネ・ダライ村にて羊毛フェルト・フェス開催
8月25日 現地での活動報告書作成開始(9月8日完成)
9月30日 駐日モンゴル国大使館にて成果報告のプレゼン実施
10月1日 紅陵祭準備
11月2~4日 紅陵祭
11月26日 駐日モンゴル国大使館主催の「モンゴルの日」祝賀レセプションに参加

企画概要

エルデネとはモンゴル語で「宝」を意味する言葉です。この企画は、私たちが新たなモンゴルの価値を探し出す宝探しの取り組みです。2024年に発生した大寒波ゾドでは、約210万の家畜が犠牲になりました。家畜という財産を失った人々は、伝統的な遊牧を維持できず、首都ウランバートル郊外に定住し、ゲル生活を余儀なくされています。本企画は厳冬期の遊牧民に所得増加の機会を与え、遊牧文化を持続させる国際貢献を目的としています。

活動の目的と目標

1. 「新たな価値(エルデネ)」を創り出す
今回のプロジェクトで生み出す「新たな価値(エルデネ)」とは、特産品でありながらもそれまで国内市場や観光客向けにしか消費されてこなかった羊毛フェルトを、日本人のニーズに合致した形で加工・商品化し、日本へ輸出することで生まれる価値です。
具体的には、日本の伝統的な季節文化のひとつである「ひな祭り」に供される「吊るし雛」を羊毛フェルトで製作し、商品化することを考えています。
2.活動目標
今回の学生チャレンジ企画では、①現地の羊毛フェルト利用状況の調査、②国立モンゴル科学技術大学、エルデネ・ダライ村関係者と協力し、羊毛フェルトを使用した「吊るし雛」製作の実演(羊毛フェルトフェスの開催)と文化交流、③商品の価格決定と実効性の検証、課題への対応の3点について、計画しました。
本企画はその後、BOPビジネスへと発展することや、企画に関心をもった国内の玩具メーカーなどがこの取り組みを支援してくれることが期待できます。それは本学も取り組んでいるSDGsのいくつかのターゲットを解決に導く一助となり、海外雄飛を掲げる本学の名声を高めることにもつながると考えています。

活動実績の報告

1. 事前準備 (4月2日~7月24日)
(1)企画打ち合わせ
採択前も含め、全5回のオンラインミーティングを通じて国立モンゴル科学技術大学(以下、科技大)バーサンダッシュ教授・副学長、産業技術学部デザイン学科のナラ准教授、コーディネーターのダライ氏に協力を要請し企画概要と実施内容を決定しました。
(2)駐日モンゴル国大使館を表敬訪問
駐日モンゴル国大使館に表敬訪問を行い、本企画の趣旨を説明しました。ご対応いただいたデルゲルマー公使参事官からは、プロジェクトが廃棄羊毛に着眼している点を高く評価していただきました。

在モンゴル日本国大使館にてプロジェクトを説明
在モンゴル日本国大使館にてプロジェクトを説明
KhanBogd社で羊毛・カシミヤの製造過程を見学
KhanBogd社で羊毛・カシミヤの製造過程を見学
国立モンゴル科学技術大学にてワークショップ実施
国立モンゴル科学技術大学にてワークショップ実施

2. モンゴル国での活動(8月19日~24日)
(1)在モンゴル日本大使館を表敬訪問
在モンゴル日本大使館にて書記官の伊藤頼子さんと専門調査員の森山賢美さんに本企画の概要を説明しました。「吊るし雛」の輸出を通じ、収入源を家畜に依存する遊牧民が現金収入を得られる点を高く評価していただきました。
(2)KhanBogd Cashmere社で工場見学と羊毛フェルト利用状況の調査
首都郊外にあるKhanBogd Cashmere社で科技大のナラ准教授とデザイナーのユミさんの案内でカシミヤの原料から商品化過程を見学し、説明をうけました。縫製の際に発生する切れ端の布や糸について、モンゴル国カシミヤ協会ではこれらを繊維に戻して再利用しようとする動きがあるものの、繊維に戻す過程でかなりのコストを要するため、廃棄されたままであることが多いと伺いました。
(3)国立モンゴル科学技術大学でワークショップを実施
科技大10号館にて、科技大産業学部の学生とワークショップを開催、日本人とモンゴル人の混合チームで、モンゴルの「(再生)羊毛」を使用し、モンゴル、日本の学生のそれぞれの意見の下、日本で販売する「吊るし雛」を製作しました。「デザイン考察→スケッチ→製作→発表」の順で行われました。
3チームが製作したすべての羊毛フェルトには、モンゴル的な要素(デール・キツネ・エーデルワイス)が入っていました。技量を確認するという目的は達成しましたが、本企画の最終的な目的、「モンゴルで『日本人に好まれる、日本風の吊るし雛を製作してもらい、それらを日本に輸出し販売する」ということを強調し、事前に理解してもらう点が十分だったとは言い難く、今後の課題となりました。
(4)エルデネ・ダライ村で羊毛フェルトフェスを開催
エルデネ・ダライ村こどもみらいセンターにて、羊毛フェルトフェスを開催、日本人・モンゴル人混成の4チームに分かれ、「羊毛」を使用しフェルト・オブジェを製作しました。モンゴル側は、幼児、小学生、高校生、大学生、主婦、幼稚園教師と幅広い層が集まりました。
モンゴル人は技術が高いうえに、製作時間も短かく、十分商品化は可能であると考えられます。科技大と同様、エルデネ・ダライ村のモンゴル人もラクダ、キツネ、モンゴル風のブーツといったモンゴル色の強いオブジェを製作していました。(3)(4)のイベントを通じてみると、純日本風のオブジェに拘るのではなく、多国籍のオブジェも新規性があって良いかもしれないとも感じ、大きな収穫となりました。

国立モンゴル科学技術大学のナラ准教授とミーティング
国立モンゴル科学技術大学のナラ准教授とミーティング
羊毛フェルトオブジェと吊るし雛の製作の様子
羊毛フェルトオブジェと吊るし雛の製作の様子

3. モンゴル渡航後の活動(9月30日~11月26日)
(1)駐日モンゴル国大使館で活動報告
駐日モンゴル国大使館を訪問し、活動報告を行いました。ご対応いただいたデルゲルマー公使参事官、ツェベグドルジ書記官からは、「本年は日本とモンゴルの文化交流50周年を迎える記念すべき年。この年に相応しいプロジェクトであった」と高い評価を賜りました。
(2)「モンゴルの日」祝賀レセプションに参加
モンゴルと日本の文化交流50年を記念し、各国高官や関係者を招いて開催された「モンゴルの日」祝賀レセプションに大使館から招待され、ブース展示をしました。

モンゴル人遊牧民のゲルを訪れ文化交流
モンゴル人遊牧民のゲルを訪れ文化交流

活動成果

エルデネ・プロジェクト2024 活動目標
(1)調査 現地の羊毛フェルト利用状況の調査と大使館でのブリーフィング
(2)実演 国立モンゴル科学技術大学、エルデネ・ダライ村関係者と協力し、羊毛フェルトを使用した「吊るし雛」製作の実演(羊毛フェルトフェスの開催)と文化交流
(3)検証 商品の価格決定と実効性の検証、課題への対応

1. 成果
(1)調査について
①日本では見られない羊毛・カシミヤの加工現場を見ることができました。
②日本大使館は遊牧民の所得増加に資する取り組みを行おうとしていることに強い関心を持たれました。特に、遊牧民が現金収入を得られる点が高く評価されました。
(2)実演について
①モンゴルにとって羊毛は「特別な財」であることが改めて確認されました。それゆえ、どうしてもモンゴル的なオブジェを製作する傾向が強く出てしまいます。その国の「特別な財」を違う国の色に変えるためには、根気よく理解を求めていく姿勢が重要だとわかりました。
(3)検証について
①羊毛は最終加工段階において様々な太さ、品質に変化するため、最終加工段階のものを再利用するのは多大なコストがかかることが判明しました。
②工程ごとにどれだけの廃棄羊毛が発生するのかといった調査を行うことで、再利用のコストを削減できる可能性は高いと感じました。
2. 課題
(1)調査について
①廃棄羊毛の全体量の把握はまだ十分とは言えません。KhanBogd社、モンゴル全体で、どの程度の廃棄羊毛が発生しているか詳細な調査が必要です。
②大使館では「遊牧民は暇に見えて忙しい」という指摘もありました。実際、厳冬期に吊るし雛を製作できるか調査する必要があります。
(2)実演について
①科技大・村ともに、製作するオブジェが日本に輸出する吊るし雛であるという点の伝達が十分とは言えませんでした。そのため、モンゴル側が製作したオブジェはモンゴル色が強いデザインとなってしまいました。本企画の最終目的は、デザインの専門家であるモンゴル人とともにデザインを考え、遊牧民ないし村民に日本の「伝統的なもの(オブジェ)」が製作可能か検証することでしたが、これは今後の課題として残りました。日本で売れてはじめて「ありふれた何か(羊毛)」が「宝」になるという本企画の趣旨説明は、今後も継続して行う必要があります。
(3)検証について
羊毛(原料)、染色羊毛(材料)、製糸羊毛(製品)、それぞれの工程でどの程度の付加価値がつけられているのか、また再生コストはどの程度なのかといった点については、より詳細な調査が必要と感じました。

エルデネ・ダライ村で羊毛フェルト・フェスを開催
エルデネ・ダライ村で羊毛フェルト・フェスを開催
紅陵祭で活動報告
紅陵祭で活動報告

会計報告

  • 活動支援金(支給額) 250,000円
  • 活動経費(支出額) 250,141円
  • 残金 △141円 ※超過分は自己負担
内 訳
項 目 小 計
消耗品費(羊毛フェルト製作材料・羊毛フェルト・フェス装飾費など) 176,180円
委託費(海外現地費用(非課税)・会場料・ワークショップ運営費など) 50,220円
その他(切手・輸送費など) 23,741円
合 計 250,141円
その他活動資金以外にかかった経費【自己負担分】
項 目 小 計
旅費交通費(モンゴル渡航費) 960,880円
合 計 960,880円
  • 活動支援金(支給額) 250,000円
  • 活動経費(支出額) 250,141円
  • 残金 △141円 ※超過分は自己負担
内 訳
項 目 消耗品費(羊毛フェルト製作材料・羊毛フェルト・フェス装飾費など) 小 計 176,180円
項 目 委託費(海外現地費用(非課税)・会場料・ワークショップ運営費など) 小 計 50,220円
項 目 その他(切手・輸送費など) 小 計 23,741円
合 計 250,141円
その他活動資金以外にかかった経費【自己負担分】
項 目 旅費交通費(モンゴル渡航費) 小 計 960,880円
合 計 960,880円

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