コロナに負けるな!~食と農のパートナーシップ~

  • 団体名 大津島プロジェクト「かんじいろ」
  • 代表者 政経学部 経済学科 3年 関 海人
  • 参加メンバー人数 18名

実施スケジュール

2021年6月19日~10月29日
6月19日 大津島の方を含めたzoom週次ミーティング(土曜日開催)
7月13日 zoomにて漁師・古城さんとの交渉
8月11日 細田さんとコラボ飲食店の交渉
9月2日 中西ファームさんへのヒアリング
9月3日 zoomにて細田さんとコラボ飲食店の交渉
9月9日 和光市の農家(冨岡さん)へのヒアリング
9月15日 zoomにて、飲食店とコラボメニューの交渉
10月2日 すみだ青空市ヤッチャバに出店
10月4日 大津島の方を含めたzoomミーティング
10月6日 大津島の方を含めたzoomミーティング
10月8日 大津島の方を含めたzoomミーティング
10月29日 大津島の方を含めたzoomミーティング飲食店にて、コラボメニュー提供の開始

実施内容・成果

 今回の学生チャレンジでは、山口県周南市大津島の人々と連携し、「生産者と消費者」「地方と都市」をつなぐ、食と農のパートナーシップの構築を目指して、コロナ禍に応じた新しい活動を行った。私たちは新型コロナウイルス感染症(以下、コロナと呼ぶ)の影響で、大津島に行くことが出来ないなか、島の方と毎週土曜日にオンラインミーティングを開き、現地との情報共有を続けてきた。それにより、都市部でのワークショップ開催・青空市の出店・農家との交渉およびヒアリング・協力飲食店とのコラボメニュー作成など、島の魅力を発信する活動に取り組んだ。
【コロナ禍における農業経営の実態調査
ー農業者へのヒアリングからー】

 私たちは9月2日に東京都八王子市にある中西ファームの伊藤さんに、9月9日に埼玉県和光市の農家である冨岡さんにヒアリングを行った。
どちらの生産者も、コロナによる悪影響はあまりなかったというお話だった。コロナ以前から大手スーパーと契約していた中西ファームは、コロナによって飲食店に野菜を卸すことはできなくなったが、それを補う形でスーパーの需要が増加したという。富岡さんの場合は、商業施設から野菜の追加注文があった。その理由は、自粛によって家庭の消費が増えたためとされる。
コロナ前からの問題だが、どちらの生産者も担い手不足を訴えていた。中西ファームでは生産規模拡大のための人手を必要とし、富岡さんは後継者を必要としている。
このヒアリングでは、実際に現場に赴き、農業の実態に関する生の情報を得たという点で意義があった。

中西ファーム・伊藤さん ヒアリング風景
中西ファーム・伊藤さん ヒアリング風景
和光市の農家・冨岡さん ヒアリング風景
和光市の農家・冨岡さん ヒアリング風景

【新たな食と農のパートナーシップの構築】
(1)「すみだ青空市ヤッチャバ」の出店
ー大津島の生産者と墨田区の消費者をつなぐー

 私たちは10月2日に行われた「すみだ青空市ヤッチャバ」において、「あおぞらアンテナショップかんじいろ」(以下、かんじいろ)を出店した。「すみだ青空市ヤッチャバ」(以下、ヤッチャバ)とは、東京都墨田区東向島町の曳舟駅前において、毎週土曜日に開催される青空市であり、日本各地の農作物とその加工品を、生産者が自ら販売し、作り手と食べ手の豊かなつながりが培われている。「あおぞらアンテナショップかんじいろ」とは、大津島の日常の食を東京都の家庭でも味わってもらうため、関ゼミナールの学生と大津島の住民が協力して立ち上げた団体である。今年度の学チャレで重点的に取り組んだ活動は、この特産品販売である。具体的には、大津島産のカボスやヒジキを中心として、島の人々が日常的に使っている生活用品を含めた販売に取り組んだ。その際、「かんじいろ」の活動を紹介(農家・漁師・提携飲食店の情報など)する自作のパンフレットと、大津島をはじめとした連携する地域のパンフレット(観光・地域情報)の配布も行った。
この活動では、既に構築していたパートナーシップを、コロナ禍でも継続できた点に意義があった。

生産者の声・コラボ飲食店・アンテナショップをまとめたパンフレット
生産者の声・コラボ飲食店・アンテナショップをまとめたパンフレット

(2)墨田区の飲食店と連携した魚料理のコラボメニュー作成
ーコロナ禍の漁師を支援するー

私たちは、大津島の漁師(古城さん)がコロナ禍によって抱えた問題を聞き取り、その解決のため、墨田区の飲食店である「二階の食堂デリカフェ」と協力し、魚料理のコラボメニュー作成に取り組んだ。
古城さんへのヒアリングは、ZOOMを用いて実施した。ここでは、「飲食店のコロナ禍 による営業自粛の影響で、魚の需要が減少し、価格が下がってしまい、また全て市場に卸すと供給過多を起こし、更に価格が下がってしまう。さらに燃料価格の高騰も重なり、漁に出られない方や、獲った魚を海に逃がしてしまう」(7月13日)といった、漁業の厳しい現状をお聞きした。そのため、私たちは、「二階の食堂デリカフェ」に協力してもらいながら、古城さんを支援するための魚料理のコラボメニュー作成に着手したのである( 9月15日)。「二階の食堂デリカフェ」は、ヤッチャバ 事務局の細田さんに紹介していただいた。 コラボメニューの提供は、10月29日に始まった。メニューは、真鯛の昆布〆、アジの南蛮漬け、ハマチのソテー南イタリア風である。 どれも魚の味を生かす優しい味付けで、とても美味しかった。飲食店からは、「古城さんから直接送っていただいたため、とにかく鮮度が抜群だった。今回は、学生チャレンジ企画のおかげでコラボが実現したが、高品質の魚をこの価格で仕入れられるなら、次回もお願いしたい」と感想をいただいた。
通常、東京で食べる魚は、漁師→地方市場→卸売業者→豊洲市場→仲買人→魚屋→一般消費者というように、多くのプロセスと時間をかけて、一般家庭に届いている。それに対し、本企画では、古城さん(漁師)が獲った市場に卸していない新鮮な魚を、東京の飲食店(二階の食堂デリカフェ)に届けることで、双方にとって利点のある「新たな食と農のパートナーシップ」が構築できるのではないかと考えたのである。その結果、前日に水揚げした魚を、翌日のお昼には東京に到着するスピードで輸送し、鮮度抜群の商品をお届けすることに成功した。「第一次生産者」「飲食店」「消費者」 のすべての人々が得をする関係こそ、私達が目指した 「食と農のパートナーシップ」である。

やっちゃばの販売風景
やっちゃばの販売風景
飲食店とのコラボメニュー
飲食店とのコラボメニュー

活動を終えて

 はじめに、今回の「コロナに負けるな!~食と農のパートナーシップの構築」に、ご協力くださった学外関係者の皆さまに対して、改めて感謝の気持ちをお伝えしたい。
私たちが所属する関ゼミナールでは、2017年から大津島の支援を行っている。大津島の合宿では、すだいだいの収穫作業や地域活動の援助(道清掃、側溝の清掃作業、ビーチクリーニングなど)に取り組んできた。緊急事態宣言下の活動は、多くの障害が立ち塞がった。今年は、コロナの影響によって大津島を訪問できず、食と農のパートナーシップにおいて最も重要となる「信頼関係の構築」を、オンラインのコミュニケーションに頼るなど、難しい問題を抱えたが、その代わりに、「東京でもできる継続的な支援」の可能性を探る機会が与えられたことは、貴重な経験であった。また、二度に及ぶ活動スケジュールの見直し、ヒアリングを行う農家の変更、活動の班分けの見直しなどが生じ、社会情勢を見極めつつ、慎重に企画を進めねばならなかった。このような状況で本企画が成り立ったのは、ひとえに大津島や墨田区の沢山の人たちの協力のおかげだった。本企画を行っていくうえで、「パートナーシップ」の重要性を改めて強く感じることになった。

会計報告

  • 活動資金 250,000円
  • 支出総額 247,819円
内 訳残金 2,181円
項 目 小 計
交通費 岩国空港~羽田空港飛行機代、学生活動交通費、大津島~徳山間交通費 58,382円
委託費 細田侑(墨田区)、古城昭彦(大津島) 40,000円
謝礼金 古城涼太(大津島)、大友翔太(大津島) 30,000円
印刷製本費 オリジナルチラシ印刷、印刷代 5,327円
賃借料 すみだ生涯センター、ニッポンレンタカー 24,345円
雑費 輸送代、駐車場代、ガソリン代、宿泊費他 36,462円
消耗品費 感染症対策用品購入、文房具、エプロン他 53,303円
合 計 247,819円
その他活動資金以外にかかった経費【自己負担分】
項 目 小 計
旅費交通費 自己負担分 819円
合 計 819円

報告書、レポート一覧

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