新潟県三条市における“食”が持つ
地域おこしの有効性と発展性の研究

  • 団体名 SANJO BEATERS×TAKUDAI
  • 代表者 商学部 国際ビジネス学科 3年 多田 涼太郎
  • 参加メンバー人数 3名

実施スケジュール

2021年7月2日~10月25日
7月2日 石塚さん(食堂)との打ち合わせ
8月6日 現地調査in三条
8月7日 熊倉さん(農家)との打ち合わせin三条
8月16日 石塚さん(食堂)との打ち合わせ
9月24日 熊倉さん(農家)との打ち合わせ
9月28日 石塚さん(食堂)との打ち合わせ
10月11日 試食会開催
10月12日 本学HPに広告を掲載
10月13日 慶應大学SFCがチラシ・アンケートを作成
10月18日 三条定食限定販売スタート
10月22日 販売終了
10月25日 アンケート集計

実施内容・成果

 新潟県三条市にある3×3のプロバスケットボールチーム、SANJO BEATERS(以下:三条B)と、学生がプロスポーツチームと社会貢献の方法を企画することで、三条市及び三条Bの活性化、認知度向上に寄与することを目指している。少子高齢化による人口減少や、それに伴う地域経済停滞への問題意識から、三条市が持つ地域課題解決の方策を模索し、学生ならではの視点で活動した。農産物の流通範囲が狭いことは三条市が持つ課題であり、販路を拡大させていく必要がある。
本チャレンジでは、学食の協力を得て、三条Bと学生がコラボした三条産の農産物を使用したメニューを販売する。三条Bは「半農半バスケ」のコンセプトのもと、すでに” 食”を通した地域貢献を実践しており、それを踏まえて、三条Bと大学を”食”で繋ぐことにチャレンジした。学食という人が多く集まるプラットフォームの協力のもと、三条Bと学生のコラボメニューを販売することで、首都圏に住む私たち学生だからこそできる、多くの人に三条Bや三条産の野菜を知ってもらう形で、三条Bの魅力を”食”に関連付けて直接発信していきたいという想いで本チャレンジは始まった。このチャレンジの最終目標は、本学の学生に3×3のプロバスケットボールチームが三条市に存在することを認知してもらうこと、及び三条市の認知度を高めること、そして三条Bの新たな地域貢献の形にこれからも学生が関与していくことにある。
年度当初から私たちは週1回のオンラインミーティング、オンラインe- sportsイベントの開催、現地調査を3回行い準備を進めてきた。これらの活動は、三条Bの選手小野寺彰氏に協力していただいた。小野寺氏は三条市の地域おこし協力隊でもあり、三条Bの活動を通じた地域活性化に取り組んでいる。また私たちのチャレンジに慶應義塾大学SFCの学生も5人参加しており、チラシやアンケートの作成などを担当した。学チャレ採択前に行われたオンラインe-sportsイベントでは、景品で三条産の農産物を発送することで三条市と”食”でつながる活動を行い、本チャレンジの地盤を作った。
実施に向け7月上旬から、三条市下田地区で農家を営む熊倉さん、食堂の石塚さんと打ち合わせを重ねてきた。熊倉さんとは主に秋野菜の選定や納品方法、メニューの考案について話し合った。非常に協力的な姿勢で取り組んでいただいたおかげで下田地区での家庭的な料理に近づけることができた。そして食堂の石塚さんとは、販売日程や提供数の調整について7月から打ち合わせを重ねてきた。こういった形で学生の活動に協力をすることは初めてということで、多角的に意見を交わすことができた。

石塚さん(学食)との打ち合わせ
石塚さん(学食)との打ち合わせ
石塚さん(学食)との打ち合わせ
石塚さん(学食)との打ち合わせ

 「三条定食」はメニューを2種類用意した。一つ目は、”三条秋野菜を使った天丼”だ。熊倉さんかられんこんやカボチャ・さつまいも・しいたけ・ナスと、のっぺ汁の材料、ずいきの酢の物を提供していただき、彩を添える海老は、食堂の石塚さんに用意していただいた。のっぺ汁は新潟県をはじめ全国各地に伝わる郷土料理で、今回は具材を中心とした煮込み料理となっており、とろみがあって薄味に仕上がっているのが特徴である。
二つ目の”下田地区ひこぜん定食”は、前述した野菜やのっぺ汁の材料にひこぜん・漬物類、石塚さんからはサンマを提供していただいた。ひこぜんは、五平餅に似た冬の郷土料理で、地元産のコシヒカリをつぶして形を整え、木の串に刺して味噌をつけ炭火で焼いたものである。当初は10/18から10/22の5日間の予定だったが、納品の段階で連携不足が生じてしまい、1日延期し10/19から10/22の販売となった。値段は¥450で、前半2日間は天丼、後半2日間はひこぜん定食を提供した。1日20食×5日間限定であったが、販売期間が4日間に短くなったこともあり、各日25食ほどに変更した。
販売は成功し、合計約100食無事に売り切ることができた。学生はもちろん教職員にも人気があり、12時ごろには売り切れてしまう日が続いた。アンケートも消費者に回答して頂いた。三条市を知らない人、野菜を購入する際に生産者を意識する人が多くないというデータが得られた。我々都市生活者にとって、農業の現場は遠い存在であるが、だからこそ私たちは生産者に意識を向ける必要があると感じた。三条市をはじめ、地域に根差した素晴らしい農産物がたくさんある。

下田ひこぜん定食
下田ひこぜん定食
下田産秋野菜を使った天丼
下田産秋野菜を使った天丼
熊倉さん(農家)手作りの昼食
熊倉さん(農家)手作りの昼食
熊倉さん(農家)手作りの昼食2

 本チャレンジは地域課題解決に加え、本学の学生に3×3のプロバスケットボールチームが三条市に存在することを認知してもらうこと、及び三条市の認知度を高めること、そして三条Bの新たな地域貢献の形にこれからも学生が関与していくことを目指したものであったが、意義のある活動だった。三条市が持つ地域課題を”食”と関連づけて販路拡大の解決、改善の方向に導き、そこに学生が中心として関わることができた。生産者・熊倉さんの「三条の豊かな大自然の中でじっくりと育った野菜たちをぜひ楽しんでほしい。」という想いも本学に届けられたと感じる。

日本の棚田100選・北五百川の棚田
日本の棚田100選・北五百川の棚田

活動を終えて

 今回のチャレンジで、私たちの中ではまず"全日完売させる"という目標を立てた。チャレンジを進めていく中で、三条定食が多くの学生や教職員の方に渡ること、そしてアンケートに答えてもらう事が必要であった。チャレンジを終えて振り返ると、三条定食は4日間全日程完売し、召し上がって頂いた方から「美味しかった」、「三条に行ってみたい」などの言葉を頂けた。目標を達成することができ、学食という多くの人が集まるプラットフォームの力をお借りして、三条市の魅力や三条産の農産物を知ってもらうこと、そして三条Bの魅力を食に関連づけて発信していくというチャレンジは成功した。
しかし、販売までのプロセスで、多くの反省点が出た。緊急事態宣言下で三条市へ実際に直前訪問することは叶わなかった。東京にいる私たちができる地域貢献という形で始めた今回のチャレンジでは、生産者である農家の熊倉さんと学食、私たちの考えをまとめて、必要な情報をそれぞれに伝える必要がある。三条定食に使う食材の納品時間を打ち合わせする際に、その日の交通状況や学食の営業時間、発送できる時間帯を、農家の熊倉さんと学食の石塚さん双方に正確に伝える必要があったが、連携が上手く行かず、販売を当初の予定から1日延期することになった。
原因は私たちの認識不足と詰めの甘さで、多くの方々に力を借りている分、それぞれの方に伝えるべき情報をしっかりと伝えてられていない部分があった。打ち合わせを重ねる中で、疑問点がない状態で本番を迎えるべきだった。しかし、このような経験は企画採択された私たちだからこそできたものであったし、悲観的にならずに気持ちを切り替えて、完売することが出来て良かった。社会に出てからこのようなトライ&エラーは連続して起こることで、学生のうちに経験できたことは本チャレンジの収穫の一つといえる。
本チャレンジは地域課題解決に加え、本学の学生に3×3のプロバスケットボールチームが三条市に存在することを認知してもらうこと、及び三条市の認知度を高めること、そして三条Bの新たな地域貢献の形にこれからも学生が参与していくことを目指したものである。成功した部分は次に向けてブラッシュアップしていき、反省・改善点を活かして今後も三条市のために活動していきたいと考えている。

チャレンジメンバーの集合写真
チャレンジメンバーの集合写真

会計報告

  • 活動資金 100,000円
  • 支出総額 70,600円
内 訳残金 29,400円
項 目 小 計
旅費交通費 東京-燕三条間往復(1人分) 17,820円
雑費 野菜購入・発送料金 49,780円
雑費 チラシ・アンケート用紙印刷(50円×44枚) 2,200円
雑費 ポスター印刷(80円×10枚) 800円
合 計 70,600円
その他活動から得た収入
項 目 小 計
学食販売売上 44,100
合 計 44,100円

報告書、レポート一覧

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