地域の絆で災害を乗り越える

  • 団体名 チーム館プロ
  • 代表者 国際学部 国際学科 3年 岡部 優里奈
  • 参加メンバー人数 16名

実施スケジュール

2021年6月21日~10月27日
6月21日 パイロット向けに行ったアンケート調査の分析・修正開始
7月3日 自治会報に修正版アンケートを折り込み、全世帯へ配布
7月14日 アンケート回収
7月26日 アンケート調査の集計開始
8月4日 自治会と合同ミーテイング
8月10日 自治会と合同ミーテイング
8月17日 自治会と合同ミーテイング
8月23日 自治会と合同ミーテイング
8月24日 分析結果の報告書作成開始
8月31日 自治会と合同ミーテイング
9月1日 自治会と合同ミーテイング
9月1日 防災地図作成開始
9月4日 報告書を自治会報に掲載していただき、全世帯へ配布
9月7日 スマホ相談会の活動開始(週1~2回開催継続中)
9月21日 井戸端ノートを団地の縁側に設置
9月23日 ガイドラインの作成開始
10月3日 間違いがないか確認を行った上で、防災地図の完成
10月27日 ガイドライン完成
毎週月曜日 自治会と合同定期ミーティング
キャンパスで話し合いをしている様子
キャンパスで話し合いをしている様子
Zoomで話し合いをしている様子
Zoomで話し合いをしている様子
スマホ相談会の様子
スマホ相談会の様子

実施内容・成果

 私たちは、2019年より「館ヶ丘団地暮らし向上プロジェクト(館プロ)」を開始しました。団地住民の声に耳を傾け、住民に寄り添い、団地の暮らし向上の為に活動する事を目的としています。本学生チャレンジ企画の活動は、館プロの一環として行っており、住民の「災害時が不安」という声を受けて始めたものです。住民同士で支え合う仕組みが十分に備わっていない事が大きな課題となっている事から「地域の絆で災害を乗り越える」というテーマで、災害時に助け合えるコミュニティづくりを進める事にしました。
活動を進めるにあたり週に1~2回程度、自治会の方とzoomを通し、合同ミーティングを開催してきました。様々な案について議論を重ねながら、活動を行う中で達成された成果は大きく分けて4つあります。
第1に、アンケート調査の結果に基づき防災地図を作成した事です。アンケート調査では、住民の方々の災害対策状況、災害時に支援が必要な方・可能な方等について調査をしました。そこで、全世帯へ質問票を配布する前に、一部の住民を対象に実験的なアンケートを行いました。住民から改善点を教えて頂いた上で、自治会と内容を修繕し2400全世帯へ配布しました。その結果、125世帯の方が協力してくださり、住民が不安に感じている事や防災意識等について詳しく知る事ができました。また、「支援する事が可能な方」を中心に支援隊を結成する為に、必要な情報も得る事ができました。その後、住民の方に今回の調査結果を知って頂く為アンケート結果を報告書にまとめ、全世帯へ配布しました。
その上で、調査結果の「身体状況」や「災害時に支援が必要か」の部分をもとに防災地図の作成を行いました。防災地図では、避難困難レベルを設定し色分けを行いました。
・色分けと防災地図記載内容について
名前
電話番号
赤色→支援が必要
黄色→状況に応じて支援が必要
青色→支援ができる人
/→空き家
空欄→アンケート未回答者
以上の項目を部屋番号ごとにまとめる
 災害時に支援が可能な方が支援を必要とする方に迅速に対応ができるように、Excelファイルにまとめました。その為、住民の身体機能の変化や入転居状況などに応じて情報を簡単に修正できます。また、データだけではなく、紙媒体としても保存しています。防災地図は、個人情報保護の観点から住民には配布せず、自治会管理のもと災害時に支援時に安否確認の為に使用します。

防災地図の見本
防災地図の見本
住民の方に向けて配布した「災害に備えるアンケート」
住民の方に向けて配布した「災害に備えるアンケート」
「災害に備えるアンケート」の結果報告
「災害に備えるアンケート」の結果報告

 第2の成果は、災害時に安否を確認する為の「旗」の作成と災害時に活用できるガイドラインの作成です。これらは災害時に、支援が必要な方と支援ができる方を繋げる為の仕組み作りを目指しているものです。
私たちは、当初避難困難レベルを色分けしたステッカーを住民の方々に配布しポストに貼り付けて頂き、その上で困難レベルが高い方の安否確認を行う事を検討していました。しかし、自治会と議論を重ねる中で、防災地図と役割が似ている点や、防犯上の問題を考慮し、計画を変更する事にしました。その結果、ステッカーの代替案として、旗を作成する事にしました。災害時にベランダから赤色と黄色の旗どちらかを出していただき、結成を目指している支援隊が旗を見て安否確認が行えるような仕組みづくりを目指しています。
・ 旗の色について
赤色→支援が必要な場合
黄色→安全だった場合
 また、防災地図と旗を有効活用して頂く為に、3種類のガイドラインの作成を行いました。1種類目は、災害時発生時の対応や緊急連絡先、情報伝達、旗の使い方を掲載した一般住民向けのものです。部屋の中に貼って頂くようA4用紙にまとめました。2種類目は、1種類目のガイドラインの内容を細分化し、詳しく掲載した冊子型のものです。3種類目は、支援隊向けのものです。これらが災害時に自分の身を守るとともに、支援できる方の適切な支援に繋がる事を期待しています。
なお、防災対策の活動だけではなく、住民同士、そして学生同士のコミュニケーションを活発化する為の活動も行ってきました。
1つ目は腕章の作成です。団地での活動の際に、私たち学生が活動している姿を住民の方々に知って頂く為です。その際に、チーム全員からデザイン案を出し合い、ロゴマークも決定しました。これを機に、学生と住民の方々との交流が増え、より住民の方々との距離が縮まりチームの団結力がさらに高まりました。
2つ目は、井戸端ノートです。以前行った社会調査で「日頃近所の方とコミュニケーションをとっているほど、暮らしの満足度が高い」という事がわかりました。この結果とコロナ渦という事を考慮し、住民同士で間接的なコミュニケーションをとって頂く事、新たな住民同士の繋がりが生まれる事を目的に、誰でも自由に書き込める井戸端ノートを団地の交流スペースに設置しました。
3つ目は、スマホ相談会の実施です。春に団地で行ったコロナウイルスのワクチン予約のお手伝いをした際に、スマホの操作が不慣れな住民が多くいる事を知りました。その中で、「スマホの使い方を教えてほしい。」というニーズのもとスマホ相談会を開く事にしました。週に1度、2人体制で学生が団地に出向き、住民の方々のスマホに関する悩みを解決する場を設けています。「自分たちではわからない事が多いからこのような機会があるのは助かる」といった感謝の言葉を多く頂きました。
このような活動が私たちと住民の方々の距離を縮めるだけでなく、自治会と住民の方々、住民の方々の間の距離をさらに縮める事に貢献できればと考えています。

災害時に安全な場合に出していただく旗
災害時に安全な場合に出していただく旗
災害時に支援が必要な場合に出していただく旗
災害時に支援が必要な場合に出していただく旗
井戸端ノート設置の様子
井戸端ノート設置の様子

活動を終えて

 本企画に取り組んできたこの半年間は、一人一人の成長に繫がった期間でした。それは、PDCAサイクルを基にプロジェクトを進める中で失敗と成功を繰り返し、そこに楽しさも感じる事ができたからだと考えます。この企画を始めて少し経った頃、最初の壁に直面しました。「団地住民の暮らし向上の為に地域の絆で災害を乗り越える」という最終目標は同じであるものの共に活動を進める自治会と学生の間で意見が食い違ってしまうという事態が度々続いたのです。学生だけで行うミーティングと自治会と合同の会議の2種類が存在し、前者のミーティングが問題の原因であると考えました。そこで、全てのミーティングに自治会にも参加して頂いた所それぞれの意見についてタイムリーに議論できるようになり、活動の質、効率の両方において向上しました。
夏休みに入ると、新な問題が発生しました。ミーティングに参加するメンバーが固定化されたり、参加したくても予定が合わずに参加できないメンバーが出てきてしまったりしたのです。毎回議事録は書いていたものの、参加頻度の違いから、活動の進行状況に対する把握量に差が出てきてしまいました。それだけでなく状況がわからなくなればなるほど、活動に関わる事が面白くなくなるという事態も生じます。そこで、もう一度全員で同じ方向を向く為に、防災に関するアンケートで得た情報を防災地図に落とし込む作業を全員で行いました。ミーティング時間外で行える為、会議に参加出来なかった人も一緒に取り組む事が出来ました。また、活動を進める中で仕事を分担する事の重要性にも気づいていきました。初めは一部のメンバーで進めてしまった作業がいくつかありました。この課題を解決すべくリーダー、副リーダー、予算係、記録係という枠組みに加え、防災に関するアンケーの結果報告資料担当、防災地図のデータクリーニング担当、ガイドラインの集約担当等を設ける事にし、一人一人が当事者意識を持ち一つの目標に向かって取り組む事ができる環境になりました。メンバー間の信頼関係も構築され、住民の方々に寄り添った活動にしていく為にはチームの関係が良好な必要がある事を学びました。 緊急事態宣言が出ていた事もあり、活動は主にオンラインで進めてきました。こうした中、オンラインで活動する事の可能性にも改めて気づきました。WordやExcelといったパソコンツールはもちろんJamboardというオンライン上で問題分析が出来るツール等を有効活用しながら活動したからだと思います。オンラインでも方法を工夫すれば、円滑に活動を進められる事を学びました。一方で住民と直接お会いできないという点に関しては弊害がありました。しかし緊急事態宣言解除後すぐにスマホ教室を通じ住民との関係を近づける事が出来ました。住民のニーズに応えての活動である為、感謝して頂ける機会が大変多く、やりがいにもなりました。
この数か月間私たちが辿ってきた道は決して平坦なものではありませんでした。この活動が館ヶ丘団地住民の明るいより豊かな未来にそして私たちの成長に繫がっていると信じています。また、学生だけでは乗り越えられない事も自治会の方と共に活動した事で乗り越える事ができた為自治会の皆様への感謝の気持ちも更に強くなりました。本音で語り合った事で家族のような存在になる事が出来たと言えます。地域で連携すれば、それが大きな力となり高齢化といった大きな社会問題や、近年増えてきている災害にも立ち向かっていけると実感しました。私たちは、本企画終了後も用意した防災地図や旗などのツールを用い、防災訓練を行います。その過程で、今回パイロットとした125世帯に限らず、全世帯に災害時に住民同士で助け合う事のできる仕組みが波及していく事を期待しています。住民、自治会、私たち学生で一つの大きなチームとなり、安心して住み続ける事のできる団地づくりをしてきます。

チームの集合写真
チームの集合写真

会計報告

  • 活動資金 180,000円
  • 支出総額 176,271円
内 訳残金 3,729円
項 目 小 計
印刷製本費 A4用紙(普通紙)1000枚(ガイドライン作成用) 589円
印刷製本費 A4用紙(耐水紙)200枚(ガイドライン作成用) 4,730円
用品費 プリンター(ガイドライン・団地地図印刷用) 84,470円
消耗品費 インク(ガイドライン・団地地図印刷用) 33,898円
用品費 布125世帯分(安否確認のための旗) 20,900円
雑費 布の送料(安否確認のための旗) 1,290円
用品費 ペン、ノート(井戸端ノート用) 220円
用品費 スタンプ(井戸端ノート用) 376円
用品費 ネームプレート(活動周知の為) 1,650円
用品費 腕章(活動周知の為) 25,300円
旅費交通費 バス交通費(高尾駅南口-館中学校間)2人×4往復(スマホ相談会) 2,848円
合 計 176,271円

報告書、レポート一覧

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